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日本初の事業用発電パネル税条例は成立するのか

2022年09月26日   5249

日本初の事業用発電パネル税条例は成立するのか

 昨年12月、岡山県美作市は2023年度から事業用発電パネル税を徴収することを決定した。徴収対象は出力10キロワット以上の野立てのソーラーパネルによる発電事業で、税額はソーラーパネル1平方メートルあたり50円(約2.5元)で、回収期間は5年となる。この条例が可決されると、日本太陽光発電協会を含む多くのグループが抗議した。

 

 以前の記事では、「事業用発電パネル税(以下、パネル税)」の概要と異なる意見について説明と議論をした。本記事では、さらに税の問題と影響について引き続き検討していく。

 

1 パネル税は二重課税に該当するのか

 

 現在、パネル税で最も議論されていることは、二重課税に該当するかでどうかである。

 

 太陽光発電会社の立場からすると、日本の税制にしたがって、太陽光発電所の竣工後は、固定資産税を支払う。売電収入に、法人税、住民税、法人事業税も支払う。それに加え、ソーラーパネルにも課税されるとなると、必然的に事業主の負担が大きくなる。まず、現段階では、発電事業者の収入はF I Tによって制限されている。そして、パネル税が課せられた場合に、発電事業者はこの費用を売電価格に入れることもできない。また、政府は固定購入価格を設定する際に追加税を考慮していなかった。つまり、購入価格が決まった後、新規の税を課すことは適切ではない。しかも、この美作市条例による課税は、再生可能エネルギーの生成を推進するという日本政府の現在の政策に反するものである。

 

 美作市は、パネル税は環境保全、周辺の防災対策および住民の生活環境の維持向上のために使用すると明らかにしているが、電力利用者の立場からすると、電気料金にはすでに再生可能エネルギー税が含まれている。この税金は、日本の地方自治体が再生可能エネルギーの開発を支援するためにも使用される。この観点から考えると、パネル税が地方自治体による二重課税となっていると考えられる。

 

2 二重課税が太陽光発電事業に与える影響

 

 二重課税がもたらす影響については、3月に開かれた再生可能エネルギー普及拡大のための自民党議員連立会議で議論された。

 

 会議では最初、二重課税が公正な競争を妨げると考えられた。ここでの公正な競争の障害は、主に他のエネルギー源との比較を指している。ただし、現在、太陽光以外のエネルギー源は二重課税の対象ではない。今年から日本はF I Tの実施を予定しているが、固定購入価格の保証がなければ、他の発電より一つ税金が多い太陽光発電は競争力が低下する可能性がある。

 

 そして、二重課税は、太陽光発電プロジェクト成立時には、各事業者が考慮していなかった問題であり、事業主の利益率とローン返済計画に影響を与える可能性がある。この税に含まれるソーラーパネルの面積を発電量に換算すると、対象となる太陽光発電所の発電量1kwにつき0.3円の税金がかかる。現在、事業用太陽光発電の利益は1キロワットあたり約1円である。課税された場合、事業主は価格に転嫁できず、大きな負担となる。

 

 最後に、会議では、二重課税が太陽光発電所の長期的な安定運営に影響を与えるのではないかと懸念されている。日本の新しい基本エネルギー計画によれば、太陽光発電を日本の主要な電源の1つに発展させることを計画している。FIT後、パネル税は、太陽光発電事業者が発電所への投資意欲を弱め、それにより、太陽光発電所の長期的な安定運営に影響を与える可能性があるだろう。

 

3 パネル税の影響

 

 まず、美作市による事業用発電パネル税は地方税に基づく法定外目的税であることから、総務大臣による承認が必要であるが、これが承認されれば、美作市だけでなく、他の地方自治体も追随するのではないかと考えられる。現在、日本には約21億枚のソーラーパネルがある。もし課税が全国で認められるようになれば、最大で4,000億円(約200億元)の税収になるだろう。

 

 日本にとって、太陽光発電は再生可能エネルギー戦略だけでなく、地域開発を促進するための重要な手段でもある。地方自治体の財政収入を増やすために導入されたパネル税は、実際には地方開発のペースを遅らせる。太陽光発電所は、発電だけではなく、現地販売(「地産地消:現地生産品は現地消費」という日本の消費意識)などの需給統合型のビジネスモデルを推進する役割も担っている。発電所はまた、発電設備の維持管理において新たな雇用を生み出す。パネル税の実施は、これらの地域の発展に影響を及ぼすことになるだろう。

 

 さらに、日本の再生可能エネルギーの持続可能で安定した開発に対して、パネル税はバタフライ効果になるのではないか。現在、再生可能エネルギーの最大の課題は、グリーン電力を長期間、安定的に供給することである。地方自治体に追随されるだけではなく、美作市が課す事業用発電パネル税は、風力発電などの他の再生可能エネルギー発電プロジェクトにも新たな課税を誕生させ、日本の再生可能エネルギーへの長期的かつ安定的な出力に影響を与える可能性がある。

 

 電力利用者の場合、F I Tの下での増税は電力利用者に影響を与えない。しかし、F I Tが終了後は電気代を値上げすることになるだろう。 持続可能な開発の達成を目指す企業の中には、グリーン電力の輸入計画を縮小またはキャンセルする企業も出てくるだろう。

 

4 最後に

 

 パネル税に関する現在の議論は、主にそのマイナス面に焦点を当てられているが、パネル税は地方税であることから、太陽光発電所の近くに住む住民にも利益をもたらすというプラス面もある。パネル税は、土砂崩れや地滑りなどの地質災害が発生しやすい地域に建設された発電所に課せられることから、そのような地域での太陽光発電所の開発と規模を阻害し、それによって発電所の建設が地域の地質に与える影響を減らす可能性がある。

 

 また、現在のパネル税はすべてのソーラーパネルに課税されるわけではなく、課税対象である一部の発電所には、減税または免税の措置もある。今後、パネル税が全国に普及すれば、それは日本のグリーンエネルギー発電の発展の障害ではなく、美作市のパネル税も初の試みとして全国に良い参考例となるのではないかと期待されている。

 

(記者 阿部 武彦 編集 高橋 淳 校閲 石井 美香)

 


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