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太陽光

米、アンチダンピング調査の大逆転

2022年09月05日   5863

米、アンチダンピング調査の大逆転

 米国商務省(DOC)は最近、マレーシア、タイ、カンボジア、ベトナムの太陽電池モジュールメーカーに対するアンチダンピング調査に関する2点の重要事項を含む説明の覚書を発行した。

 

 重要事項の第1点は、中国産ポリシリコンを使用し、中国国外で生産されたウェーハはアンチダンピング調査対象外であるというものだ。中国産ポリシリコンを原料とするウェーハであっても、中国産以外のウェーハを製品に使用していれば影響を受けないことを明確にした。

 

 第2点は、予備的または最終的決定の場合、調査対象国に課される関税率は、最初に迂回された中国の製造業者または輸出業者の企業固有の税率と同じになると、これまでは全く未知数だった関税の課税方法と税率を明確にした。

 

 2021年3月、米国商務省は、中国産のシリコンウェーハが米国のアンチダンピング関税規制の対象外であることを確認した。したがって、中国国内でウェーハを製造しているか否かにかかわらず、アンチダンピング関税の迂回とはならない。少なくとも「中国国外での太陽電池ウェーハの製造」そのものは迂回調査の対象とはならないはずである。しかし、商務省がこの点を明らかにする前に、一部の米国系メーカーから、輸入したシリコンウェーハが調査の影響を受けるのではないかとの懸念が表明されていた。

 

 米国クリーンエネルギー協会(ACP)が発表した声明では、「現在、米国の太陽光発電産業を阻害している市場の混乱を継続させるものである」としている。というのも、中国製でないソーラーウェハーが調査対象になるかどうかではなく、中国製ではないシリコンは基本的に世界中に存在しないからである。 米国のエネルギー情報調査IHSの2021年世界PVチェーン市場シェア統計では、中国本土で生産されるシリコンウェーハが世界供給の95%以上であると明らかになっている。

 

 WACKERなど海外の企業とポリシリコン供給の長期契約を結んでいるJinko Solarが、ベトナムで7GWシリコンウェーハ製造の生産をまもなく開始する。これらのウェーハが調査に含まれていない場合、これらのウェーハでの結晶シリコンセルとモジュールの生産は調査の影響を受け、関税が課されることになると、結果的に東南アジア諸国のPVにアンチダンピング関税を課すことになるのではないかとの見解も示されている。

 

 今回の米国商務省の声明は、別な問題を提起している。米国商務省が昨年、「匿名性は容認できない」「企業ではなく国だけを対象にできる」という理由で、最初のアンチダンピング調査申請を却下したからだ。もし、東南アジア諸国を対象とした請願で、中国製以外のシリコンやウェーハを使ったセルやモジュールにアンチダンピング関税が課せられるとしたら、それはアメリカが世界中の太陽電池セルやモジュールにアンチダンピング関税を課すための前段階ではないかというものである。

 

 Global PVは、アンチダンピング調査の結果が、東南アジア4カ国(タイ、マレーシア、ベトナム、カンボジア)にアンチダンピング関税が課せられたとしても、ウェーハ、セル、モジュールの生産能力はすぐにインドで構築されるため、Auxin Solarのような米国に拠点を置く将来性のある製造業者を守ることにはならないだろうとしている。

 

(記者 阿部 武彦 編集 高橋 淳 校閲 石井 美香)

 


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